(社)日本臨床看護マネジメント学会 |
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第9回臨床看護マネジメント学会学術研究大会
会長 田中 彰子
今日の時代を生き抜くリーダーシップ
~ 診療・介護報酬同時改定と看護管理者がやるべきこと ~
少子高齢社会化が加速するなかで、我が国の社会保障制度の持続可能性は、地域包括ケアシステムに向けて実現しようとしています。限られた医療資源を公平かつ効率よく配分するために、診療報酬は包括支払い方式となり、改定の度にチーム医療の評価が拡大してきました。2006年度診療報酬改定において、7対1入院基本料が新設されましたが、その基準が不明確であることに対し、中医協は建議書を出し、2008年度には、7対1入院基本料の算定基準として「一般病棟用重症度・看護必要度」が導入されました。これを皮切りに、看護必要度は、「10対1入院基本料」「13対1入院基本料」「回復期リハビリテーション病棟」「急性期看護補助体制加算」「地域包括ケア病棟」「総合入院体制加算」の新設や加算、あるいは要件として導入されてきました。
もともと看護必要度は、看護量を推定し適正な人員配置を行うためのものでありましたが、医療をめぐる外的環境の変化と共に少しずつ変化してきました。2016年度の診療報酬改定では、C項目が追加され、多職種による評価となり、DPC病院や7対1病院などに対し、Hファイルとして看護必要度データの提出も義務付けられてきました。このような流れは、診療・看護のプロセスが可視化され、尺度の妥当性・信頼性の検証とともに、看護必要度を加味したより適切な評価が期待されたところでした。
2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定では、HファイルとDPCデータ(EFファイル)の結果が一致しない理由、重症度、医療・看護必要度データのDPCデータへの置き換えが可能かどうかの議論、さらに現場の看護師の業務負担などの側面から、その検討が本格化してきている状況から、今後の行く末やあり方が問われています。
看護必要度は開発から20年が経過しましたが、全国で統一された唯一の患者評価の指標として、日本の医療・看護の客観性を示す大きな役割を果たしてきました。今回の本学術研究会では、特別講演として、開発者である兵庫県立大学大学院経営研究科教授の筒井孝子先生より、看護必要度の歴史的な経緯とその意義、今後の行く末や看護管理者として持つべき視座についてお話を伺います。
また、教育講演として、厚労省の入院医療等の調査・評価分科会のメンバーであり、社会医療法人社団時泉会相沢東病院看護部長の武井純子先生には、入院基本料等をめぐる問題について検討の経緯を伺い、現場目線で政策に関与することの重要性をお話しいただきます。そして、データを読み解き一歩先を見据えて看護管理に携わっている、兵庫県立尼崎総合医療センター副院長兼看護部長の箕浦洋子先生には、これからの現場における看護実践や看護管理への看護必要度データの活用についてお話を伺います。
次に、ポスターセッションでは、第一線の看護管理者の事例報告や取組みの成果について募集します。看護専門職として、看護管理者として、地域包括ケアシステムの時代と言われる中で、どのようにキャリアを高め、リーダーシップをとり、情報共有や組織変革を進めてゆくのか、会場の皆様とともに考えを深めたいと思います。是非応募要領をご覧の上、エントリーしてください。
このことは、本学会のもう一つの主軸である「臨床看護のマネジメント・スキルアップ」に関連し、今年度も、本研修の講師である、株式会社オーセンティック代表取締役社長の高田誠先生に、今日の時代を生き抜く看護管理者の「リーダーシップの極意」について、お話しをいただきます。
来る2月11日の第9回学術研究会が、目まぐるしい社会の変化を捉え、マネジメントスキルの向上を図る機会となればと思います。そして本学会のキャッチフレーズである「看護マネジメントが生み出す『安全』と『安心』」の追求に役立つことを願っています。
第9回 日本臨床看護マネジメント学会学術研究大会
テーマ:今日の時代を生き抜くリーダーシップ
日時:平成30年2月11日(日)10時30分~16時30分
場所:東京都看護協会 2階サークル室
参加費:事前登録 会員 4,000円 非会員 7,000円
当日 会員 5,000円 非会員 8,000円
プログラム
10:30~10:35 オリエンテーション
総合司会:瀬下律子(当学会理事、やさしい手 管理本部総合サポート部部長)
10:35~10:40 開会挨拶
嶋森好子(当学会理事長、岩手医科大学看護学部 教授)
10:40~11:40 特別講演
テーマ:「看護必要度の歴史的経緯と意義
― これからの看護管理者の視座 ―(仮)」
講師:筒井孝子 (兵庫県立大学大学院経営研究科 教授)
座長:田中彰子 (当学会理事、横浜創英大学看護学部 教授)
11:40~12:10 社員総会
昼食 ❖ハープの生演奏があります❖
12:40~13:20 教育講演Ⅰ
テーマ:
「平成30年度 診療・介護報酬同時改定の議論より
―看護管理者に伝えたいことー」
講師:武井純子(慈泉会相澤東病院)
座長:嶋森好子(当学会理事長、岩手医科大学看護学部 教授)
13:20~14:00 教育講演Ⅱ
テーマ:「看護必要度データの活用と一歩先を見据えた看護管理」(仮)
講師:箕浦洋子(兵庫県立尼崎総合医療センター副院長兼看護部長)
座長:山元恵子(当学会理事、東京都看護協会協会長)
休憩
14:10~15:40 Eセッション 募集中
・看護必要度に関するもの(データ活用、記録、精度向上への取組みなど)
座長:川村良子(山形県済生会支部顧問)
・マネジメント・スキルに関するもの
(組織改革、リーダーシップ、業務改善等の取組み事例など)
座長:藤田あけみ(取手北相馬保健医療センター医師会病院 看護部長)
15:40~16:25 教育セミナー
テーマ:「今の時代を生き抜くリーダーの極意(仮)
講師:高田誠(株式会社オーセンティック代表取締役社長)
座長:柏木とき江(当学会副理事長 元筑波記念病院副院長・看護部長 )
16:25~16:30 閉会挨拶
田中彰子(当学会理事、第9回臨床看護マネジメント学会学術研究大会大会長、
横浜創英大学看護学部 教授)